1)サイクリンD1遺伝子5′側上流CpG islandのメチル化部位の特定 CpG islandのメチル化をSodium Bisulfite処理後、PCR法を用いたDNA塩基配列決定で塩基単位で決定した。Steady-stateにおけるサイクリンD1遺伝子発現の高い細胞(K4DT)では、サイクリンD1遺伝子5′側上流にある2つのSp1サイトにはメチル化が見られないのに対し、Steady-stateにおけるサイクリンD1遺伝子発現の低い細胞(K4D、K3D)では複数のシトシンにメチル化が観察された。以上の成果を報告すべく現在準備中である。 2)CpG islandのメチルイヒ、脱メチル化の違いによるDNA結合蛋白の変化の解析 2つの近接したCpG islandに挟まれたE2F結合部位に焦点を絞って検討した。この領域は約200bp程度の長さのDNAで、PCR法により増幅した。メチル化酵素によってシトシンをメチル化したものを作成し、E2Fとの結合性、親和性を検討した。E2Fとの結合性はメチル化によって影響を受けず、上記I)によって得られたSp1との親和性の違いによってメチル化はサイクリンD1遺伝子発現を調節していることが推定された。 3)高感度なメチル化部位の特定法の改良 少数の細胞からも特定部位のメチル化が検出できるように低温融解性アガロースのビーズを用いた実験系を開発した。in vivoでの実験で得られた少数の細胞(パラフィン切片より選別)においてもメチル化シトシンの検出が可能であった。
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