1.FGF8遺伝子制御機構の解析 FGF8遺伝子座15kbを単離した。5'上流域について種々のコンストラクトを作製しレポーター活性の解析を行なった。5'近傍300bp内に強いプロモーター活性を認めたがアンドロゲンによる活性の増強は見られたかった。このプロモーター領域にイントロンや3'領域を組み合わせた場合でもアンドロゲンによる活性変化は見られなかった。現在、さらに5'上流にアンドロゲン応答性領域が存在する可能性を検討している。 2.アンドロゲン非依存性細胞の産生する増殖因子の同定 アンドロゲン非依存性シオノギ癌細胞培養上清中の増殖因子の精製を試みた。活性分画に対するフォリスタチンの抑制効果やウェスタンブロットの結果よりアクチビンと同定できた。アクチビンはアンドロゲン依存性シオノギ癌細胞に対しては増殖抑制的に、非依存性細胞に対しては増殖促進的に作用した。ヒト前立腺癌細胞株でもアンドロゲン非依存性細胞にアクチビンの発現が強くホルモン反応性消失のマーカーとなる可能性が示された。 3.細胞の増殖、分化とFGF8 坑ヒト、マウスFGF8モノクロナール抗体を作製し、胎生期やヒト腫瘍におけるFGF8の発現を免疫組織学的に解析した。FGF8はヒト腫瘍では前立腺癌で高率に発現していた。胎生期では、分化した神経細胞に広範に発現していた。また、培養細胞でFGF8は神経突起形成を促進した。
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