マウスに単純ヘルペスウイルスを経口投与すると感染することなく、ヘルペスウイルスに対する体液性および細胞性の免疫が成立し、ヘルペスウイルスによる致死的challengeに対して感染防御能を獲得する。経口ワクチン作成のための有効エピトープ同定の目的で、経口投与されたマウスでの抗体と腹腔に致死量以下で感染させた際の血中抗体の差についてウイルスlysateを用いてSDSおよびwestern blotを行い検討した。その結果、経口投与後に出現する抗体は腹腔感染の抗体に比較してwestem blotでbandsの数が少なく、抗体としての認識部位は130Kと40Kのサイズのbandであることが判明した。つぎにこのbandsを切り出しマウスを免役した。ブ-スターをかけマウスから採血し血中の抗体価の上昇をELISAでチェックした。その結果マウスがELISA titerで平均約10倍程度の抗体を得たことを確認し、HSV-1を致死的にchallengeした。未処置のマウスはchallenge 後全例死亡したが、130kのbandと40Kのbandで免疫したマウスでは各々約50%、40%のマウスが生存した。以上から経口接種したウイルスの成分の一部(130Kのbandと40Kのbandに相当する蛋白)はマウスにヘルペスウイルスに対する感染防御能を与える免疫源となることが判明した。現在このbandsがウイルス成分のどのような蛋白に相当するかについて検索中である。
|