研究概要 |
最近PCRの進歩により遺伝子のレベルで新しいウイルスが解明され、その構成蛋白質やそのウイルスの性状が推察されるようになった。しかし、ウイルス遺伝子構造のみが知られているが,そのウイルス構造が確認できていないウイルスがある。ウイルス粒子の形態構造を知ることは、そのウイルス粒子の基本的な性状ばかりか、分類的位置関係、さらにその感染様式などの予測に重要である。そこで、これらのウイルスの形態を明らかにする手段として電顕的in situハイブリダイゼーションによるウイルス核酸同定法の確立することを目的とし、初年度の9年度は次の3項目について行った。 1.電顕的in situハイブリダイゼーションを確立するため、Epstein-Barrウイルス感染細胞中のEBV-DNAの存在をEBV BamHI-Wをプローブとして用い、低温樹脂包理切片上でのin situハイブリダイゼーションの条件および電顕的検出法を確立し、感染細胞内ウイルス前駆体の存在を明らかにした。 2.低温樹脂包理切片は免疫電顕法には優れているが、コントラストの良い像が得られないため、ウイルス粒子などの微細な構造の観察には十分ではなかった。そこでコントラスト増強のため、ルテニウムレッドとOsO_4混合液で免疫反応後に染色すると、高コントラストの像を得ることができ、免疫反応したウイルス粒子内部の構造を明らかにすることができた。 3.1コピーまたは数コピーの遺伝子でも検出できる電顕的in situハイブリダイゼーションを確立するため、HIV感染U1細胞(2コピー/細胞)を用いて、PCR法で増幅を行い、in situハイブリダイゼーションの最適条件を検討した。
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