研究概要 |
1.巨核球細胞株の樹立 巨核球細胞の分化の度合いと新規遺伝子の発現の関係を調べるために、白血病患者の骨髄標品および抹消血から分化度の異なる細胞株の樹立を試みた。培養樹立することに成功したCTS細胞は以前に樹立したCMK細胞より分化度の低い巨核球性細胞株であることが判明した(International Journal of Medicine,印刷中)。 2.新規遺伝子の組織特異的発現 われわれが巨核球性細胞CMKから単離した新規遺伝子は骨髄や抹消血中での細胞の抗体染色から成熟巨核球と血小板および脱核前の網状赤血球に特異的に発現されていることが判明した。また、培養細胞では分化度の高いCMK細胞では発現が認められたが、分化度の低いCMS細胞では低かった。 3.新規遺伝子の細胞内局在 CMK細胞、背随の正常巨核球を用いた抗体染色法で新規遺伝子産物は細胞質に局在していることが判明した。このことは細胞内の高次構造を維持している物質群の局在と一致している。 4.骨髄液からの正常巨核球の分離法の確立 骨髄の血球細胞からFicoll-Hypaque遠心分離、プレートでの接着細胞除去そして抗ヒトGlycoprotein IIIa(CD61)結合磁気ビーズによる分離による一連の操作によって、90-95%の純度の分画を得ることが出来た(British Journal of Hematology,印刷中)。 5.巨核化(endomitosisi)の機構 血小板の放出は巨核化した成熟巨核球でおこる。プロテインキナーゼ阻害剤K252aを用いて、巨核球細胞の巨核化に細胞周期制御物質であるCDC2キナーゼが関与することを見いだした(Leukemia and Lymphoma,25:333-343,1997)。今後、新規遺伝子の巨核化での役割を検討することが可能となった。
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