研究概要 |
本年度の研究活動は以下に示す3課題について行った。すなわち,(1)従来砂場の原虫類の検出法として採用していた蔗糖液による遠心沈殿浮遊法に変わる新しい検出方法の検討,(2)砂場に含まれる微生物のうち,昨年までに検討した犬・猫蛔虫や大腸菌に加えて,下痢症の原因原虫(Cryptosporidium parvum)の検出法の検討,そして(3)砂場の衛生管理に関する啓発活動である。 (1)に関してはPCR法を用いる方法を検討し,その予備実験の成績を報告した。その結果,PCRによるDNAの増幅を2度繰り返すことにより少量の虫卵の検出が可能であること,さらにこの実験に用いたプライマーは他の原虫や線虫類などと,本研究で用いた大蛔虫とを明確に区別出来ることが明らかとなった。(2)に関しては近年水系感染症の原因原虫として注目されているクリプトスポリジウムによる砂場汚染の可能性が考えられたため,この原虫の検査法を検討・報告した。この方法は河川水からの本原虫の回収法を検討したものであるが,砂場の砂を懸濁した後の懸濁液からクリプトスポリジウムを回収するのに非常に有効な手段となることが考えられる。現在砂場の砂を用いた検討を行っている。さらに(3)に関しては犬・猫蛔虫症の症状と砂場の衛生管理に関する最新の知見を啓発すべく一般の商業誌に解説文を載せた。
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