研究概要 |
本年度の研究活動は以下に示す2課題について行った。すなわち,(1)免疫磁気ビーズ方などを用いた公園砂場からのクリプトスポリジウムのオーシストの検出法の検討と、(2)砂場に含まれる微生物のうち,大腸菌、特にO-157を対象とする調査である。 (1)に関しては、オーシスト回収のための基礎的な諸条件の検討がほぼ終了した。それらは、砂を洗浄した懸濁液では微粒砂とオーシストの共沈現象が認められたため、分散剤の一種でもあるゼラチンを0.1%の割合に添加してこの現象を阻止した。ショ糖浮遊法で一旦集めたオーシストはその後の免疫磁気ビーズ法の回収率に影響を与えるため、蒸留水を用いた希釈が不可欠であり、ショ糖濃度を50%以下におさえる必要があった。最終的な同定は蛍光染色で行ったが、予備実験で用いた正常オーシストに、全く蛍光染色で染まらないものが散見されてたため、微分干渉顕微鏡観察を併用することとした。 (2)大腸菌検査のためには大腸菌ベロトキシン検出用キットを用いて行った。予備的に行ったウシの糞尿からは多数のO-157が検出された。そこでこれらの検査法を応用して県下の25ヶ所の砂場のO-157検査を行ったが、砂場からはこれらは検出されなかった。 (3)さらにこれら以外にも砂場からのトキソプラズマの検出のためのPCR法を検討している。砂の(土壌中)中に存在する阻害物質がPCR反応を阻止したが、現在ではほぼその問題点も解決し、野外調査に適応できるまでになっている。
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