研究概要 |
申請者らは、本年度は三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)オ-キネート表面の分子量25kDa(Pvs25)及び28kDa(Pvs28)の蛋白の一次構造を明らかにすることを目的として本研究を実施した。P.vivax gametocyteをオ-キネート培養培地(Munderloh & Kutti,1987)を用いて培養し、この虫体から抽出したmRNAを用いてcDNAライブラリを作成した。次に塩基配列のデータベースを用いて、現在までに判明している全てのオ-キネート表面蛋白の一次構造の間で保存的な領域を同定し、その部位の塩基配列をもとに新たな三日熱マラリア原虫オ-キネート表面蛋白遺伝子を同定するための、縮重したオルゴヌクレオチドPCRプライマーを合成した。上記cDNAライブラリを鋳型として、このプライマーを用いてPCRを行ったところ、予想されたサイズのDNAフラグメントが増幅された。そこでこのPCR産物をプラスミドにクローニングした後ジデオキシ法にて塩基配列を決定した。得られたた塩基配列の解析から、この遺伝子は、システイン残基に富む上皮細胞増殖因子様の配列が4回繰り返しており、マラリア原虫オ-キネートの表面蛋白に特徴的なものと考えられた。特に、4番目の上皮再坊増殖因子様の配列中のシステイン残基の数が4個であることより、この遺伝子は、熱帯熱マラリア原虫オ-キネートのPfs28、トリマラリア原虫のPgs28、ネズミマラリア原虫のPys21及びPbs21と類似した一次構造であることが判明した。したがって、今回三日熱マラリア原虫オ-キネートからクローニングされた遺伝子をPvs28と名付けた。 来年度はPvs28の組み換え蛋白を酵母を用いて発現させるとともに、もう1種類の遺伝子であるPvs25のクローニングを継続する。
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