研究概要 |
Plasmodium berghei NK65感染マウスによって、P.falciparum感染の次の点のシミュレーションが可能であることを確認した。1)再燃をおこす-P.berghei NK65,P.berghei ANKAはICR,BALB/c,C57BL/6,CBAマウスにおいて標準的な薬剤治療後や防御能を成立した後も再燃を起こす。2)繰り返し感染しないと防御能が成立しない-抗マラリア剤で3回再燃を抑制した時点で防御が確立する。3)慢性感染となる(asymptomatic carrieが存在する)-防御能を獲得したマウスは長期にわたって時に軽度の原虫血症を示す。4)免疫が失われやすい-マウス体内からP.bergheiが充分量の抗マラリア剤あるいは免疫能によって根絶されるとそのマウスは早急に防御能を失う。 P.berghei NK65-CBAマウスの実験モデルを用いて、再燃をクロロキンで抑制して慢性感染が成立するまでの感染経過中の1)脾臓のT細胞(CD3+,CD4+,CD8+,γδT)、B細胞やマクロファージの数の変化。2)血中、脾臓細胞培養上清中のサイトカイン(TNF-α,IFN-γ,IL-4,IL-6,IL-10,IL-12,GM-CSF)レベルを測定した。 上記モデルにおいて経時的にマウス個体別に採血をし血中のP.berghei NK65に対する特異抗体(IgG,IgG1,IgG2a,IgG2b,IgG3,IgM)レベルと各クラスの免疫グロブリンレベルを測定した。 慢性感染マウスにおいてCD4+T細胞を除去すると防御能が失われるが、CD8+T細胞やγδT細胞を除去しても防御能は失われない。繰り返し再燃を抑制して防御能を誘導する期間中にCD4+T細胞を除去するとマウスの生存日数が延長するが防御能は付与されない。CD8+T細胞を除去しても防御能が成立する。
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