研究課題/領域番号 |
09670267
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20180268)
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研究分担者 |
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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キーワード | malaria / Plasmodium berghei NK65 / P.berghei XAT / a chronic infection / protective immunity / spleen cells / CD4^+T cells / transplant |
研究概要 |
抗CD4モノクローナル抗体を投与してCD4^+T細胞をPlasmodium berghei NK65慢性感染CBAマウスから除去すると、マウス血清中の抗原虫抗体が低下するのに相反して原虫血症が増加し、マウスは死亡する。この事実は慢性感染状態においてCD4^+T細胞がマラリア原虫に対する防御能を維持するための必要条件であることを示している。そこで、CD4^+T細胞は防御能維持のための十分条件であるか否か検討するため、まず脾細胞を移入して防御免疫が移植できるか否か調べた。これまでに発表されている信頼できるデータはP.berghei感染においては防御免疫の移植は不可能であることを示している。しかしながら、これらの実験においては感染経過を考慮した脾細胞の移入がなされていない。 P.berghe NK65感染マウスの原虫血症に対してくりかえしクロロキンを投与して防御能を与えたマウス並びに、P.berghei XATを感作してP.berghi NK65に対する防御能を与えたマウスの両者にP.berghei NK65をさらに感染させてから3週、6週、9週、12週に脾臓を摘出しそれらの脾細胞を移入したマウスは正常脾細胞を移入したマウスに比較して、原虫の末梢血への出現が2〜3日遅れるにも係わらず、その後の原虫血症の増加率が高く、かつ低原虫血症で死亡した。これに反し6週の脾細胞移入マウスは上記のように低原虫血症で死亡するグループ、高原虫血症を示しながら比較的長期間生存するグループそして原虫血症を抑制して生存するグループの3群に分けられ、脾細胞移入によって防御免疫の移植が可能であることが明らかとなった。これらの観察結果は脾細胞移入によって病理反応を引き起こしやすくしてマウスを早期に死亡させてしまうこと、タイミングを選べば防御免疫を移植することが可能なことを示している。しかしながら防御免疫の移植の確率はこれまで20%〜50%であり、移植の条件の不明の部分がかなり残されている。
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