研究課題/領域番号 |
09670274
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
柏村 信一郎 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00185761)
|
研究分担者 |
岡村 春樹 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60111043)
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | Leishmania major / Interleukin-18 / Knockout mouse / Th1 / IFN-γ / NO |
研究概要 |
本研究では、我々がクローニングした、強力なIFN-γ産生誘導能を持つサイトカイン、IL-18がL.majorの排除にどの様な生理的役割をもっているかについて解析を行った。我々は、この様な感染抵抗性を規定する分子の生理的意義をマウス個体のレベルで解析する事を目的としてIL-18knockout mouseの作製、感染実験を同時に行った。その結果、IFN-γ誘導因子としてクローニングされたIL-18は、IL-12の存在下でT細胞、NK細胞に作用して、IL-12単独刺激に比較して約10倍量のlFN-γを産生を誘導する事が明らかとなった。更に我々は、L.maiorを感染させたBALB/cマウスに、単独の投与では感染防御効果を示さない量のIL-12とIL-18を投与しその感染抵抗性に及ぼす影響を解析した。その結果、本来L.majorに対して易感染性を示すBALB/cマウスにおいても著明な感染防御効果が誘導された。この作用機序として、IL-12とIL-18の投与によって、感染初期(2週目)から、Th1型ヘルパーT細胞が誘導され、これらのT細胞が大量のIFN-γを産生している事を明らかにした。更に我々は、IL-18遺伝子を人為的に欠損させた、IL-18knockout mouseを作製し、L.major感染に対する抵抗性を検討した。その結果、本来感染抵抗性を示すC57BL/6マウスにおいてもIL-18が欠損すると、感染部位の腫脹が長期にわたって持続する事が明らかとなった。しかし、この感染マウスにIL-18を投与する事で正常な免疫応答が誘導され、L.majorが排除される事が明らかとなった。このIL-18knockout mouseでは感染により誘導されるIFN-γならびにNOのいずれも正常なC57BL/cと比較して低値であった事が感染が長期に渡って持続した原因であると推察された。 以上の結果から、我々がクローニングした新たなサイトカイン、IL-18はIL-12協調的にTh1細胞を誘導することが明らかになった。さらにIL-18は、これらのTh1ヘルパーT細胞から大量のIFN-γ産生を誘導する事、そしてこのIFN-γの刺激でマクロファージから細胞内に寄生した L.major殺滅する為に必要なNOの産生が誘導される事が明らかとなった。感染抵抗性マウスでの免疫応答反応の上流にIL-18を介したシグナルが重要な位置を占めている事を、分子レベルで証明するとともにIL-12とIL-18の投与が難治性のLaishmania症の根本的な治療法を提供しうる可能性を示唆している。
|