研究概要 |
平成9年度の研究計画に従って研究を行い、以下のような成果が得られた。 ・virR/virS遺伝子により調節される遺伝子群のdifferential displayによる同定 ウェルシュ菌strain13(野生株)とTS133株(virR/virS変異株)より全RNAを抽出し、これを鋳型に逆転写酵素にてアイソトープ標識したcDNAプローブを作成した。このcDNAプローブは元の2株の遺伝子転写量を反映していると考えられたので、別に作成済みのウェルシュ菌染色体ライブラリーをドットブロットしたフィルターに対してハイブリダイゼーションを行い、野生株と変異株のcDNAを用いたときの各々のドットの濃度の違いを調べた。その結果、両株のプローブで異なる濃度を示すクローンが数個存在し、これらのクローンがvirR/virS遺伝子により転写レベルで正または負に調節を受けていると考えられ、pSB235,pSB343,およびpSB1029の3つのクローンをVirR/VirSシステムにより調節されるクローンとして分離した。 ・virR/virS遺伝子によって調節される遺伝子群の確認 上記の方法で分離した3つのクローンのプラスミドを調整し、制限酵素地図を作成した。各々の制限酵素切断DNA断片を標識し、野生株と変異株から抽出した全RNAに対してノザンハイブリダイゼーションを行ない、各クローンが含む遺伝子の転写産物のサイズを同定した。これによりvirR/virS遺伝子により調節を受ける遺伝子が含まれているDNA断片を明らかにした。
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