研究概要 |
Bacteroides属は臨床検体より頻繁に分離される偏性嫌気性菌である。Bacteroides属の菌種はそれぞれ異なった薬剤感受性を示すため、Bacteroides感染症を適切に治療するためには、これらの菌種を迅速に鑑別する必要がある。しかし、嫌気性菌の分離同定には時間を要するため、迅速診断法の確立が望まれている。本研究では、Bacteroides属各菌種の16S-23Sribosomal RNAスペーサー領域のPCR増幅を行い、その増幅産物のサイズの違いにより、菌種の鑑別が可能か否かを調べた。その結果、Bacteroides属の7菌種B.thetaiotaomicron,B.distasonis,B.eggerthii,B.fragilis,B.ovatus,B.vulgatus,およびB.uniformisの16S-23S rRNAスペーサー領域の増幅産物のサイズおよび制限酵素MspIによる切断パターンに相違が認められ、Bacteroides属各菌種の鑑別が可能であった。各菌種のスペーサー領域の増幅産物の塩基配列を決定して比較した結果、よく保存されている領域と菌種によって特異的な領域が認められた。この菌種によって特異的な領域の塩基配列をもとにして、菌種に特異的なDNAプローブのセットが開発できると考えられる。
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