研究概要 |
STaRのC末端領域の塩基性領域にあるアミノ酸がどの残基までがグアニル酸シクラーゼ活性の発現に重要であるか明らかにするため、1028残基めのアラニンから1011残基めのロイシンまでの18残基のアミノ酸を随時削ったCD1012からCD1029までの18種類のSTaR変異体を作製した。これらのSTaR変異体のSTa結合活性は、ほぼ同程度のSTa結合活性を示していた。この結果から酵素活性を担う細胞内領域のC末端部分を削ったSTaR変異体では、このような細胞内領域の変異が細胞外領域のSTa結合活性にそれほど影響を与えないと考えた。次に、18種類のSTaR変異体のグアニル酸シクラーゼ活性を調べた。18種類のSTaR変異体のグアニル酸シクラーゼ活性の結果は、STaRのC末端を削るにつれて活性がなくなるのではなく、アトランダムにCD1025,CD1020,CD1018,CD1014,CD1012といったグアニル酸シクラーゼ活性を示さないSTaR変異体が認められた。従って、これらのSTaR変異体ではC末端をデリーションすることによって、立体構造を構築できずにグアニル酸シクラーゼ活性がなくなっていると考えた。 また、CD1013は、wild-typeのSTaRと同程度のグアニル酸シクラーゼ活性を示した。このCD1013はSTaRのC末端領域の塩基性アミノ酸に富んだ領域のリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸をすべて欠損しているSTaR変異体であり、CD1013が、wild-typeのSTaRと同程度のグアニル酸シクラーゼ活性を示すことから、STaRのC末端領域の塩基性アミノ酸は、特にグアニル酸シクラーゼ活性の発現に重要ではないと推察した。さらに、wild-typeのSTaRに比べ、CD1015,CD1016,CD1017,CD1023,CD1026,CD1028は、グアニル酸シクラーゼ活性が10-20倍高いSTaR変異体であった(図3)。この結果から、STaRのC末端領域はグアニル酸シクラーゼ活性の発現に抑制的な効果をもち、C末端を削ったSTaR変異体ではこの効果を有しないことから高いグアニル酸シクラーゼ活性を示すと考えた。
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