研究概要 |
Bartonella henselaeによる血管内皮細胞の増殖刺激作用をin vitroとin vivoの系で検討し,細菌による血管新生性病変の発生機序を解明することを目的をして実験を行い,平成9年度には下記の結果を得た。 1.内皮細胞の培養:ヒト臍帯静脈をコラゲナーゼで処理して内皮細胞を分離し、ゼラチンコートプラスチックシャーレ上で20%胎仔ウシ血清加M199培地により培養細胞を作成することができた。得られた細胞はアセチル化LDLの取り込みを指標とした試験により内皮細胞であることを確認した。 2.菌と内皮細胞の相互作用:B.henselae ATCC 49882の菌液を培養内皮細胞に添加し,細胞の増殖性をフローサイトメータを用いて測定した。その結果,生菌を直接作用させた場合,培養5日目で内皮細胞は対照群に対し約160%の増殖促進がみられた。しかし,メンブレンフィルターにより菌と内皮細胞の接触を断った場合には細胞の増殖促進はみられなかった。一方,B.henselaeの超音波破砕菌液を内皮細胞に添加した場合にも約130%の増殖促進がみられたが,破砕菌液の濾液(0.22μmフィルター)では増殖促進作用がみられなかった。 3.菌体成分の分画と精製:上記の結果より,内皮細胞増殖促進活性はB.henselaeの細胞壁または細胞膜など非可溶性分画に結合して存在していると考えられるので,現在その局在部位について検討中である。 4.実験動物における検討:マウスおよびモルモットの皮内,皮下,および腹腔内接種を試みたが,血管腫等の病巣形成は認められなかった。しかし,著明な抗体価の上昇がみられたことから,これら動物において不顕性感染は成立しているものと考えられる。現在,更に長期にわたる観察と,角膜接種による実験を継続中である。
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