研究概要 |
各施設から集めたペニシリン耐性大腸菌および肺炎桿菌についてその感受性動向、β-ラクタマーゼ阻害剤を用いた結果から、class A、C及びcarbapenemase産生菌を検出し、疫学状況をまとめた。その結果、大腸菌では予想外にclass A型酵素産生菌が検出され、中にはclass A型でESBL産生菌(0.5%)と染色体性class C型産生菌もあった。一方、かかる耐性菌にclass A型酵素産生菌が共存すると一見ESBLs産生菌として捉えることがあった。肺炎桿菌から検出されたセフェム耐性は大腸菌に伝達するものが約2%あり、class A,class B、class C型酵素産生菌も僅かに検出された。また、有る施設の肺炎桿菌由来のESBL産生菌はその酵素の基質特異性やプラスミド型別が全く同一であり患者間での汚染が関与している可能性が強く示唆された(投稿準備中)が、その検出頻度はペニシリン耐性肺炎桿菌の6%であった。しかし、別の施設では0.2%程度のESBLの検出率であり、施設間で相当違っているのが現状と考えられた。さらに、今回検出した2株のclass B産生プラスミドはわれわれがかって経験した非伝達性で温度感受性でなく伝達性であり、その型別も同一であった。この他、class C型酵素産生プラスミドと思われるものも2株検出した。次いで、class Cおよびclass A型ESBLのプラスミド型別(不和合性)を検討した結果、施設間でことなるものの、同一施設では同一不和合性をしめすものが多かった。 現在、プラスミド由来のESBL産生遺伝子について、外国で問題となっているTEM,SHV型由来ESBLがあるのか否かPCR法による検出の検討に入った。と同時に、診断用の検出キットを作製し、検討を始めている。尚、この簡便なβ-ラクタマーゼ検出法キットについては現在投稿準備中である。
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