研究概要 |
昨年度緑色レンサ球菌群に属するStreptococuss mitis死菌全菌体によってヒト末梢血単球ならびに単球由来のマクロファージにおける転写因子NF-kBの活性化が誘導され、引き続いてIL-1β,IL-6,TNF-α等のproinflammatory cytokineの遺伝子発現が誘導されることを報告した。本年度は、菌体構成成分のうち特に細胞壁構成成分に的を絞ってどの成分がNF-κBの活性化を誘導しているのかを検討した。細胞壁からフェノール法によってlipoteichoic acid(LTA)を豊富に含む分画LTA-rich fraction(LTARF)を得て単球を刺激し、NF-κBの核移行ならびに活性化を蛍光抗体法とEMSA法にて検出した。精製されたStreptococcus属のpeptidoglycanを超音波によって破砕・断片化したものを同様に用いて単球を刺激し、NF-κBの活性化を誘導してLTARFの場合と比較検討した。両者は全く異なるkineticsを示したため、LTARFによるNF-κBの活性化は、混入したpeptidoglycanによるものであるよりもLTA自体によるものであることが示唆された。現在、精製LTAおよびLTAに対する抗体、CD14に対する抗体等を用いて、単球細胞膜上のLTAの標的分子の同定とその確認を行っている。
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