研究課題/領域番号 |
09670304
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
岡本 敬の介 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70131183)
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研究分担者 |
山中 浩泰 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (30202386)
藤井 義夫 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (60122587)
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キーワード | 大腸菌 / 下痢 / 毒素 / 膜 / ジスルフィド結合 / 遺伝子操作 |
研究概要 |
毒素原性大腸菌から産生される耐熱性エンテロトキシンにはSTIとSTIIの2種類が知られている。菌体内で生合成されたこれらのSTは効率よく菌体外に分泌され、分泌されたSTが宿主に下痢を引き起こす。細胞質で生合成されたばかりのSTIとSTIIはともに未成熟毒素であり、毒素活性はない。この未成熟のSTがいかにして活性を有する毒素に変換され、如何にして菌体外に放出されるのかを研究し、以下のことを明らかにした。 1、グラム陰性細菌の外膜に存在するToIC蛋白を変異させた菌株を作製した。この菌株でSTI遺伝子を発現させた。STIは細胞質で野生株と同様に生合成されたが、生合成されたSTIは菌体外へは放出されなかった。更にこの変異株に野生型のToIC遺伝子を挿入すると、STIは菌体外に放出されるようになった。この結果はSTIはToICを介して外膜を通過している事を示している。 2、STI、STIIはともに分子内にジスルフィド結合を有しており、このジスルフィド結合が欠損すると毒素活性は消失する。このジスルフィド結合が如何なる様式で架橋されるのか、またSTの分泌にジスルフィド結合の架橋が必要なのか否かを調べた。その結果STI、STIIのジスルフィド結合はともにペリプラスムに存在するDsbA酵素によって架橋されていること、STIの分泌にはジスルフィド結合は絶対に必要ではないが、STIIの分泌にはジスルフィド結合の架橋は必須であることが判明した。
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