研究課題/領域番号 |
09670305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
櫻井 純 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80029800)
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研究分担者 |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (90170315)
越智 定幸 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (80268705)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | ウエルシュ菌 / α毒素 / 細胞内情報伝達系 / ホスフォリパーゼD / 低分子量Gタンパク値 / Rho / ガス壊疽 / ミオグロビン |
研究概要 |
ウエルシュ菌によるガス壊疽発症のモデルとして通常の方法であるマウス後肢に筋注すると、病理組織学的に注射部位での組織破壊はほとんど無く、各臓器の血管に溶血によるヘモグロビンと筋肉溶解によるミオグロビンが確認、さらに、腎臓の部分的破壊が観察され、毒素中毒症が明らかとなった。そこで、ガス壊疽を再現するためウエルシュ菌とCa^<2+>を同時投与後、病理組織学的検討すると、感染部位におけるガス壊疽と類似の組織破壊が観察された。α毒素遺伝子をトランスフォームした枯草菌を同様の条件でマウスに筋注すると、ウエルシュ菌と同様の組織破壊が観察された。従って、α毒素はガス壊疽の原因毒素であることが証明された。次に、α毒素の作用機構を解明するため本毒素によるウサギ赤血球溶血を解析し、毒素処理によって低分子量Gタンパク質が関与している内因性ホスフォリパーゼD(PLD)の活性化が重要な役割を演じていることを明らかにしてきた。そこで、ウサギ網状赤血球からRho-GDIとRho遺伝子のcDNAを作成、そして各遺伝子を作成後、各タンパク質をGSTフュージョンタンパク質として大腸菌で発現させ、単離した。Rho-GDIとRhoを取り込ませたスキンド化ウサギ赤血球を毒素処理した結果、Rho-GDIは、毒素による溶血を用量依存的に阻害したが、Rhoは、いかなる効果も示さなかった。最近、Rhoは、GDPと結合し活性化状態をとらないこと、さらに、変異Rho(G14V)は活性化状態を示すことが報告された。そこで、変異Rho(G14V)遺伝子を作成、GSTフュージョンタンパク質として大腸菌で発現させ、そして、この変異Rhoを精製後、変異Rhoを取り込ませたスキンド化ウサギ赤血球を毒素処理した結果、毒素による溶血を用量依存的に亢進した。従って、α毒素は、内因性PLDを活性化してリン脂質代謝を亢進し、溶血を惹起すると考えられる。
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