研究概要 |
Epstein-Barrウイルス産生状態においては複製開始領域OriLytから複製は始まり少なくとも複製後期にはローリングサークル型複製様式によりウイルスゲノムは複製され複製中間体としてhead-to-tail concatemerが合成される。研究目的はこのローリングサークル型DNA合成機構を明らかにすることであり、複製フォークで働く蛋白質の個々の機能及び相互作用を解析することにある。このウイルスゲノム複製伸長を担うウイルス蛋白質としてBALF5蛋白質、BMRF1蛋白質、BALF2蛋白質、BBLF4蛋白質、BSLF1蛋白質、BBLF2/3蛋白質が知られている。これまでBALF5蛋白質がPolymerase catalytic subunit,BMRF1蛋白質がPolymerase accessory subunitであることを明らかにしてきた。平成9年度においては一本鎖DNA結合蛋白質(EBVSSB,BALF2蛋白質)を大量に得、その性状を解析するために組み換えバキュロウイルスによる発現系を開発し、発現蛋白質を精製し、EBVSSBにhelix-destabilizing活性が付随することを見い出した。このunwinding活性は抗BALF2蛋白質抗体により阻害された。最大活性はBALF2蛋白質がDNA基質を飽和する以上の濃度で得られた。BALF2蛋白質によるunwindingはcooperativeであり且つ非常に早く 又unwinding活性に方向性は見られなかった。BALF2蛋白質のhelix-destabilizing活性がssDNA上の二次構造を解消することによりEBVDNAポリメラーゼの動きを促進すると考えられる。又EBVDNAポリメラーゼ複合体には弱いながらStarnd displacement DNA合成活性があることを見つけた。
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