研究概要 |
Epstein-Barrウイルス産生状態においては複製開始領域OriLytから複製は始まり少なくとも複製後期にはローリングサークル型複製様式によりウイルスゲノムは複製され複製中間体としてhead-to-tail concatemerが合成される。このウイルスゲノム複製伸長を担うウイルス蛋白質としてBALF5蛋白質、BMRF1蛋白質、BALF2蛋白質、BBLF4蛋白質、BSLF1蛋白質、BBLF2/3蛋白質が知られている。これまでBALF5蛋白質がPolymerase catalytic subunit,BMRF1蛋白質がPolymerase accessory subunitであることを明らかにした。平成10年度においては一本鎖DNA結合蛋白質(EBVSSB)にhelix-destabilizing活性が付随することを見い出した。このhelix-destabilizing活性がssDNA上の二次構造を解消することによりEBVDNAポリメラーゼの動きを促進すると考えられる。さらにDNAへリカーゼ、DNAプライマーゼ活性を担うと考えられるBBLF4蛋白質、BSLF1蛋白質、BBLF2/3蛋白質のバキュロウイルス発現系を各々樹立した。3種の組み換えバキュロウイルスは感染細胞中に各々90、89、及び76kの蛋白質を発現し、各抗体を用いたウエスタンブロットにより各遺伝子産物であることが同定された。3種の組み換えバキュロウイルスを同時に感染させ抗BSLF1抗体で免疫沈降させるとBSLF1、BBLF4,BBLF2/3蛋白質すべてを沈降させた。感染細胞内で3者は複合体を形成している。また同様の方法でBBLF4蛋白質/BSLFl蛋白質問、及びBBLF2/3蛋白質/BSLFl蛋白質問でも複合体形成をすることが確認できた。現在この複合体を精製し、その酵素活性について検討している。
|