レトロウイルス感染症に対しては、いろいろな抵抗性遺伝子の存在が報告されている。マウスを利用したモデル動物の実験系においては、フレンド白血病ウイルスに対するいろいろな抵抗性遺伝子が明らかにされている。この内、Fv-2とFv-4遺伝子は、その作用は、in vivoにおいてのみ認められ、その抵抗性発現機構は不明なところが多い。これまでに報告された研究の内、Fv-2とFv-4遺伝子の作用はnudeマウスにおいて、異なった作用を示すことから、免疫の何らかの関与が考えられている。当研究課題において、Fv-2やFv-4に対する免疫の関与を明らかにするため、Fv-2抵抗性マウスのC57BL/6、Fv-4抵抗性遺伝子を持つFv-4 congenic BALB/cとGマウスに免疫抑制剤FK506を投与し、その効果を検討した。その結果Fv-2に関してが顕著な効果はなかったが、Fv-4については、そのヘテロマウスにおいて、その抵抗性が減弱することが明らかになり、Fv-4遺伝子の発現には免疫が関与していることが強く示唆された。 Fv-4 congenic BALB/cとnormal BALB/cマウスのFlマウスにFK506を一週間投与し、フレンドウイルスを感染させ、FK506の投与を継続したところ、フレンドマウスがよく増殖し、脾臓の肥大も認められるようになった。このことより、Fv-4遺伝子発現機構はフレンドウイルス感染の際に必要な受容体の競合作用のみによるものではないことを示していると考えられる。
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