研究課題/領域番号 |
09670316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 一博 大阪大学, 医学部, 助教授 (70234929)
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研究分担者 |
多屋 馨子 大阪大学, 医学部, 助手 (80263276)
稲城 玲子 大阪大学, 医学部, 助手 (50232509)
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キーワード | ヒトヘルペスウイルス6 / 潜伏感染 / 再活性化 / マクロファージ / 神経膠細胞 |
研究概要 |
ヘルペスウイルスの潜伏感染・再活性化が免疫系に与える影響を解明することを目的として、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染・再活性化の機序を検討した。その結果、HHV-6の潜伏感染時に特異的に発現するmRNA及び再活性化時に特異的に発現するmRNAを見出した。潜伏感染時に発現するmRNAは、HHV-6の調節遺伝子IE1/IE2と同じ向きにコードされるsense transcriptと逆向きにコードされるanti-sense transcriptである。sense transcriptは、潜伏感染時に発現するが、完全増殖性感染時には発現しない。また、anti-sense transcriptは複雑にスプライスしたmRNAで、潜伏感染、再活性化、完全増殖の各々の時期に特徴的なalternative splicingを生ずる。潜伏感染及び再活性化において特異的に発現するmRNAが見出されたのは初めてのことである。この様なphase specificなmRNAの存在は、潜伏感染の再活性化という現象が、これまで考えられていたように潜伏感染と完全増殖性感染の2つの相庭枯れているのではなく、潜伏、再活性化、完全増殖の3つの相に分かれていることを示唆している。この知見は、今まで不明であった潜伏感染・再活性化の機序を明らかにするために重要であると考えられる。さらに、これらのmRNAの存在は、HHV-6の潜伏感染が動的な状態であることを示しており、その宿主細胞であるマクロファージ及び神経膠細胞に対する影響が示唆された。
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