研究概要 |
ヒトヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス等のa亜科、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)の属するb亜科、EBウイルス等のg亜科の3亜科に大別される。ヘルペスウイルスは潜伏感染・再活性化という性質を共通して持つが、その機序は各々の亜科間でかなり異なると考えられる。 我々は、b亜科に属するCMVおよびHHV-6の潜伏感染部位の決定、潜伏感染関連遺伝子の同定を行ってきた。また、in vivoでのCMVの潜伏感染・再活性化の追跡システムを作製し、検討を行った。 この結果、両ウイルスに共通の性質として以下の2種類の潜伏感染関連遺伝子が見出された。 I.CMV及びHHV.6の増殖性感染は、前初期遺伝子IE1/IE2によって正方向に導かれる。潜伏感染時には、このIE1/IE2の5非翻訳領域に潜伏感染特異的な構造を持つものが発現しているが、IEl/IE2の蛋白は検出感度以下である。 II.潜伏感染時には、このIEl/IE2と反対向きのDNAから転写されるアンチセンスRNAが発現する。また、このアンチセンスRNAは、CMVにおいて、55アミノ酸(a.a.)、59aa,152aa,154aaの短いopen reading frameを持ち、HH‐6において、279aa,91aa,160aaの短いopen reading frameを持っていた。
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