研究課題/領域番号 |
09670318
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
小田切 孝人 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (80177237)
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研究分担者 |
中田 進 山之内製薬, 分子医学研究所, 主管研究員 (90129255)
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キーワード | インフルエンザウイルス / ゲノムRNA / RNA分子識別 / CATアッセイ / インフルエンザDI RNA |
研究概要 |
本研究の目的は、ウイルス粒子形成過程におけるゲノムRNA分節の識別および集合機構の解明、さらにはゲノムRNAのパッケージング機序を解明することにある。.我々は、DI-RNAが特定の塩基配列をもつ遺伝子の発現を特異的に抑制するという性質を利用して、各ウイルスゲノムRNA分子上の識別シグナルの同定を行った。平成9年度においては、ウイルスゲノム上の識別シグナル領域を同定するために、各ゲノムのコード領域をCAT遺伝子で置換した組み換えCAT一対抗を用いた解析系において、DI-RNAの標的となる認識部位がゲノムRNAの非コード領域の3'末端の13-19番目の塩基配列であることを解明した。 そこで、平成10年度においては、DI-RNA分子上の抑制作用部位の同定を、標的認識部位と予想される領域を欠落させた欠損変異体DI-RNAを用いて行った.その結果、(1)3'末端の13-19番目の塩基配列を欠落したDI一RNAおよびその領域を標的遺伝子とは相補しない別の遺伝子で置換した組換えDI-RNAでは、標的となる組み換えCAT-RNAの遺伝子発現を全く抑制しなかった。(2)この領域下流の塩基配列や、5'非コード領域内のどの部分を欠損させても、そのDI-RNAは標的遺伝子の発現を強く抑制した。すなわち、これら欠損部位には抑制活性領域が含まれていないことが判明した.(3)DI-RNAの3'末端の12塩基からなる共通領域を欠損させると、13-19番目の塩基配列が存在しても抑制活性が見られなかった.(4)組み換えCAT-RNAおよびDI-RNAそれぞれから転写されるmRNAをRNaseプロテクション法で定量したところ、各mRNA合成は正常に起こっていた. 以上の結果から、DI-RNA分子上の抑制領域は、3'末端の共通領域を含む19塩基であること、また、その中でも13-19番目の塩基配列はRNA分節の識別をするシグナル領域であることが明らかになった。さらにDI-RNAによる標的遺伝子発現の抑制は、mRNAの翻訳過程で引き起こされることが明らかになった。
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