潜伏サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化における一酸化窒素(NO)の役割について明らかにするために、MCMVについて潜伏感染状態になった(BALB/c×C3H/He)F1マウスに、BALB/cの脾細胞を移入しGVH反応を起こさせ、肺、心、肝等におけるMCMV-DNA、-RNA、-タンパクの変動をMCMV増殖に関わる早期遺伝子および後期遺伝子について検討した。この検索と並行して体内のNO動態をiNOSmRNA、NO代謝産物を測定することにより潜伏CMV再活性化とNO代謝との関連について明らかにしている。現在以下の2項目について検討を終了した。 1.潜伏ウイルスの再活性化に伴うNO産生量の変化 (1)脾、肺、心、唾液腺のiNOS発現量はiNOSmRNAの定量では上昇していた。 (2)NOの代謝産物であるNO_2^-/NO_3^-の血中レベルもGriess法による測定では上昇していた。 (3)NOより生じる直接の組織障害物質であるperoxynitrite(ONOO^-)は、その代謝産物であるnitro-tyrosineの定量では上昇が認められなかった。 2.潜伏ウイルスの再活性化にNOが関与していることのin vivoレベルでの確認 (1)inducibleNOの合成阻害剤であるPBN(N-tert-Butyl-phenylnitrone)をマウスに投与したところ、NOの産生量低下に伴い潜伏ウイルスの再活性化も阻止された。 (2)NOの前駆物質であるArginineをマウスに投与して体内のNO産生量を増加させたところ、潜伏ウイルスの活性化が亢進した。
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