研究概要 |
今年度の研究実績は、研究実施計画のうちの特に"IL-8産生に関わるCMV遺伝子の解析"に関する研究において、IL-8産生および遺伝子発現にCMV遺伝子のどの部位が関与しているかについて検討し以下の成績が得られた。 CMVの前初期遺伝子(IE-1,IE-2)領域を含むベクターを構築し、IL-8遺伝子上流域(-546-+44)を有するルシフェラーゼ発現ベクターと同時にTHP-1細胞へ遺伝子導入し、一時発現系によりルシフェラーゼ活性の誘導を標的にし検討したところ、IL-8遺伝子発現に関与するCMV前初期遺伝子は、IE1部位である事が示唆された。さらに、CMV前初期遺伝子導入されたTHP-1細胞でのIL-8mRNAの発現検索および培養上清中のIL-8産生タンパクの検索からも、同様に主要なCMV遺伝子はIE1部位である事が確認された。IL-1やTNF産生には、むしろIE2部位の関与が報告されており、この相違点は興味深い。これらの知見は、第12回ヘルペスウイルス研究会(三島)、第45回日本ウイルス学会総会(京都)およびSymposium on interferons and cytokines:Basic science and clinical aspects(Riyadh,Saudi Arabia)において発表された。 今後の研究の展開としては、IL-8産生および遺伝子発現にCMV遺伝子のどの部位が関与しているかをさらに明確にするために、IE-1,IE-2領域を含むパ-マネント細胞系を作製し検討していく予定である。
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