1、トランスジェニックマウスの解析;B細胞抗原受容体(BCR)からの刺激に対する細胞増殖阻害/細胞周期アレストの分子機構を検討した。G1/S期のもっともよい指標であるRb蛋白質のリン酸化の抑制、CDKキナーゼ群の活性低下がすでに判明している。CDKキナーゼ群の活性低下の分子メカニズムも検討した。現在までのところ、少なくともmel-18からCDKキナーゼの活性調節へ向かう新しい制御カスケードの存在が証明できた。また、ノックアウトマウスでは全く逆の現象が起きて、細胞増殖昂進が起きていることも確認できた。 2、遺伝子欠損マウスの解析;骨髄および胸腺の低形成が観察された。さらに、T細胞の分化異常(4週齢以上でのCD4/8DNからDP細胞への分化停止)、骨髄中のIL-7反応性リンパ球前駆細胞の増殖障害が観察された。しかし、JAK3/STAT5は正常なのでやはり細胞周期調節異常の可能性が高いと思える。その分子機構の解析を行ったところ、Rbファミリーの抑制が見られることが判明した。現在その原因を解析中である。さらに今年度の実験より、RAG2蛋白質のリン酸化による蛋白質不定化が起きることが判明した。このリン酸化はCDKキナーゼによって起きることから、細胞周期調節が遺伝子再構成を制御するで分化のコントロールを行っていることが分かった。
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