研究課題/領域番号 |
09670332
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
免疫学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡辺 久実 新潟大学, 医学部, 助手 (50143756)
|
研究分担者 |
安保 徹 新潟大学, 医学部, 教授 (30005079)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | 成熟マウス肝臓 / 多機能性造血幹細胞 / B6-SCIDマウス / 細胞移入実験 / 胸腺外分化T細胞 / NK1.1^+T細胞 / 胎児胸腺器官培養 / 肝ストローマ細胞 |
研究概要 |
我々は、肝臓が胸腺外T細胞分化の重要な臓器であることを見いだし、そこで分化・成熟するT細胞の性状と機能について報告してきた。また、骨髄に存在するc-kit^+、Lin^-多機能性造血幹細胞が成体の肝臓にも存在することをSCIDマウスを用いた細胞移入実験で明らかにした。本研究では、成熟肝に存在する造血幹細胞からの肝臓内でのT細胞分化の過程を明らかにすることを目的とした。 4Gy放射線照射B6-SCID(Ly5.2)マウスヘB6-Ly5.1マウス肝および骨髄のc-kit^+Lin^-の造血幹細胞を移入し、各リンパ系器官に出現するリンパ系細胞、顆粒球系細胞、赤芽球系細胞をフローサイトメトリーで検索した。この系ではLy5.1とLy5.2というB6系マウスを用いることにより、Hostの再構成能、特に胸腺外分化T細胞であるNK1.1^+T細胞の再構成を検討できた。その結果、再構成された肝の胸腺外分化T細胞はIL-2Rβ^+細胞が多くNK1.1^+細胞は少ないものの、そのVβのレパートアーは正常であった。肝の造血幹細胞にはT細胞にcommitmenntしたものが多いことも分かってきた。このことは、胎児胸腺の器官培養(HOSculture)系を用い確かめられ、in vivoの結果と同様に胸腺を早く再構成した。さらに成体肝の初代培養細胞および我々が樹立した肝ストローマ細胞株を用いて、サイトカインの添加なしに肝造血幹細胞の培養が可能となった。その結果、肝造血幹細胞は肝ストローマ細胞の支持のもとにのみNK1.1^+T細胞を分化誘導できた。一方、骨髄の造血幹細胞からは分化が見られなかった。この肝ストローマ細胞は、胸腺や骨髄由来のストローマ細胞と同様にSCFやIL-7などの造血に関与するサイト力インを産性することが、RT-PCR法を用いて確かめられた。 以上の結果より、肝造血幹細胞は胸腺の関与なしに独自で肝ストローマ細胞の支持のもとに、胸腺外分化T細胞であるNK1.1^+T細胞を分化誘導できることが明らかとなった。このことから、造血臓器としての肝臓の独自性がより強く示唆された。
|