研究概要 |
本研究は、HLA(特にクラスII分子)を介したシグナルによる免疫制御機構を明らかにすることを目的とし、本年度はヒト末梢血monocyte上に発現されたHLAクラスタII分子をクロスリンクすることによって誘導されるモノカイン産生について検討した。96穴プレートに10μg/mol of PBSで各種抗HLA抗体を4℃一昼夜静置の後、PBSで5回洗浄して抗体を固相化した。付着法にて分離したmonocyte(90%以上の細胞がCD14陽性)をこのプレートで培養した後、培養上清中のモノカインをELISAで定量した。その結果、抗HLA-DQ抗体をはじめとする各種のクラスII HLA抗体によるHLA分子の架橋はmonocyteにIL-1β,IL-6,IL-10,1L-12p40,GM-CSFおよびTNFαの産生を誘導することが明らかとなった。また、ペプチドを介した生理的なT細胞が抗原提示細胞(APC)相互作用によってAPC側に伝達されるシグナルを解析するために、活性化T細胞をエメチン処理してmonocyteと共培養することにより、T細胞におけるde novo蛋白質合成を阻止したままモノカイン産生を誘導する系を確立した。この研究を完成させるために、今後以下のような方向で進める。(a)モノカインのみならず、CD80/86の発言,APCの寿命にも着目して解析を進める。シグナル伝達分子に関してはhuman monocytic leukemia cell line THP-1を用いた研究を準備中である。(b)B細胞におけるHLAを介したシグナルによるクラススイッチ圧に着目して解析を進める。(c)活性化T細胞におけるHLAを介したシグナルが効果相に与える影響について解析する。(d)DR,DQ,DP間の差および対立遺伝子間の差に関してもAPC-T細胞クローン相互作用、およびallele-specificな抗HLA抗体を用いて進めていく。
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