研究概要 |
CLA(cutanceous lymphocyte-associated antigen)抗原のエピトープはsialyl Lewis x類似構造の糖鎖構造であり、E-セレクチンのリガンドとして機能し、メモリーThl細胞が血管内皮を介して皮膚内に浸潤するために必要とされる抗原である。ヒト抹消血リンパ球からナイーブT細胞を分離し、5日間のCD3,CD28,IL2の刺激により増殖させた後、2日間のIL12の刺激により分化させた。この増殖、分化の刺激を6回(6週間)繰り返しTh1細胞をin vitroで誘導した。一方、培養3週間目にIL12からIL4の刺激に変換することにより、Th1細胞からメモリーTh2細胞に近いT細胞集団を誘導した。各週毎に、細胞を回収しRNAを抽出後、CLA抗原を合成するのに必要とされる糖転移酵素群のmRNA量をcompetitive RT-PCR法により定量した。結果、ILl2刺激によるTh1細胞では、CLA抗原が強く発現するようになり、CLAの担体タンパク質であるPSGL-1も強く発現してきた。糖転移酵素群の中では、Fuc-TVII,B4GalT IがIL12により発現が上昇したが、その他に糖転移酵素の発現には大きな変化がなかった。IL4による刺激により、CLA抗原は消失した。同時に、Fuc-TVIIとβ4GalT Iの発現は強く抑制された。しかし、PSGL-1やその他の糖転移酵素の発現には変化がなかった。このように、IL12とIL4が2種類の糖転移酵素の発現を制御しており、それによりCLAの発現が制御されることが判明した。
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