研究課題/領域番号 |
09670350
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新岡 正 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 助教授 (20123953)
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研究分担者 |
田中 豪一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10167497)
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キーワード | 心理的ストレス / 脳活動状態 / 脳内血液量 / 脳内酸素化度 / 心臓血管系反応 / 交感神経系 / 性格特性 / 近赤外分光法 |
研究概要 |
本研究では、感覚生理学的、心理的ストレス状態におけるヒト脳内局所の血液量及び酸素化度などの血液動態の変化を明らかにしようとした。また、交感神経系の緊張状態を反映する心臓血管系反応との関連性を検討し、血液動態の変化を固体差を個人の心理・性格特性の面から解釈することを目的とした。まず、脳の知的活動を賦活化させることが明らかな暗算作業を課した被験者の前額部(前頭連合野)の脳内総ヘモグロビン(total-Hb)濃度、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)濃度および脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)濃度の変化を求めた。このとき、心臓血管系反応(連続血圧、総末梢抵抗、一回拍出量および心拍数など)を脳内血液動態の測定と同時に計測した。また、暗算作業負荷に対する間欠騒音の重畳の影響を検討した。この結果、騒音重畳の有無に関わらず、暗算作用負荷により、一般的には、total-Hb濃度とoxy-Hb濃度は増加し、一方、deoxy-Hb濃度は減少し、脳内の酸素化度が上昇することが明らかとなった。ただし、これには、大きな個体差が存在することが明らかとなった。また、騒音の重畳は、能内血液動態と辛抱血管系反応との間に相関関係を生じさせることが明らかとなった。更に、心臓血管系反応と脳内局所の血液動態の変化の個体差との重回帰分析から、騒音重畳条件の場合の暗算作業中の血液動態の変化に認められた個体差は心臓血管系反応の個体差によって25%程度説明できることが明らかとなった。また、モーズレイ性格検査指標の神経症候向の高井ものほど暗算作業中のoxy-Hb濃度の増加量が有意に多いことなど、脳内局所の血液動態の変化の個体差が、心理・性格特性とも密接に関連していることが明らかとなった。このように、本研究では、暗算作業負荷中の脳内局所の血液動態の変化は、ストレス状態等における交感神経系の緊張度と密接に関連し、また、心理・性格要因によって修飾を受けることを明らかにした。
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