等価騒音レベルでの衝撃音の内耳機能に及ぼす影響の評価に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09670351
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 旭川医科大学
• 研究代表者: 山村 晃太郎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80109959)
• 研究分担者: 堀田 秀一郎 旭川医科大学, 医学部, 助手 (30271761)
• キーワード: damage-risk criterion(DRC) / 断続音 / (CM) / (CAP) / (EP) / Kイオン濃度 / L_<eq24h>

研究概要

聴力に対するdamage-risk criterion(DRC)(ISO R 1999)は、エネルギーの等しい音暴露は騒音性聴力損失(NIHL)に対して等しいリスクを意味するとされている。本研究の目的は、モルモットを用いて、断続音を暴露し、電気生理学的機能の変化、すなわち、蝸牛マイクロフォン電位(CM)、聴神経活動電位(CAP)、さらに他の電気化学的電位である内リンパ直流電位(EP)及び中央階Kイオン濃度の変化の測定に際してのL_<eq24h>の妥当性を検討することであった。断続音の時間パターンは1秒間に1pulseか3秒間に1pulseで、また各々の音はL_<eq24h>で90dB、85dB、そして80dBとした。結果は以下の通りである。定常音と断続音は共にCMの減少を引き起こす。L_<eq24h>は厳密なDRCではない。まず、115dB(L_<eq24h>=90dB)の断続音暴露によるCM output voltageの最大値は、8kHz、90dBの定常音暴露後の値よりも小さかった。115dBと110dBの断続音暴露のCAPの閾値(10μV以下)は、90dBの定常音暴露のそれよりも5〜10dB上昇していた。断続音暴露によるnegative EPは、CMの実験の場合と同様な傾向を示していた。Pulseの頻度は、断続音暴露において重要な因子である。より頻度の高いpulseを持つ。つまり1秒間に1pulseの方が3秒に1pulseの場合よりより抑制をもたらす。Kイオン濃度の経時的変化は、L_<eq24h>が低い(80dB)場合や、L_<eq24h>が90dBでもpulseの数が1pulse/3秒に減少させた場合では、controlと比べて同様であった。

研究成果

• [文献書誌] Shuichiroh Hotta et al: "A comparative study on the effect of pure tone exposure of the guinea pig cochlea" Eur.Arch.Otorhinolaryngol.253. 45-51 (1996)
• [文献書誌] Shuichiroh Hotta et al: "Combined effects of acute lead acetate exposure and tone exposure on adult guinea pigs" Eur.Arch.Otorhinolarynol.253(8). 488-493 (1996)
• [文献書誌] Shuichiroh Hotta et al: "An electrophysiological study of the effects of acute methylmercury chloride exposure on the function of the guinea pig cochlea" Acta.Otolaryngol.(Stockh). 117. 675-685 (1997)
• [文献書誌] 松井利仁他: "道路騒音の予測におけるL_<aeq>からL_<50>への変換方法-ユニットパターンを利用した簡易変換式-" 日本音響学会誌. 52(7). 503-509 (1996)
• [文献書誌] Toshihiro Itoh et al: "Endogenous zinc release in the hippocampus of the anesthetized rat brain using microdialysis" Trace Elements and Electrolytes. 13(4). 196-199 (1996)
• [文献書誌] 糸川嘉則他: "NEW 衛生公衆衛生学(改訂第2版)" 南江堂, 469 (1995)
• [文献書誌] 和田 攻編: "産業保健マニュアル 改訂第3版" 南山堂, 258 (1995)