二酸化窒素曝露による実験喘息・特に遅発型反応への影響

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09670355
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 四日市大学
• 研究代表者: 北畠 正義 四日市大学, 環境・情報学部, 教授 (00024688)
• 研究分担者: 朴 豊源 三重大学, 医学部, 助手 (50283528) ; 村瀬 さな子 三重大学, 医学部, 助手 (20115728)
• キーワード: 実験喘息 / 遅発型反応 / モルモット / 二酸化窒素 / ボディープレチスモグラフ / 呼吸曲線

研究概要

気管支喘息に関する関心点としては、従来よりよく知られている、I型アレルギー反応に属する即時型反応の他に、抗原吸入後5から10時間以降に起こる遅発性の呼吸困難が、実際の喘息についてはより大きな意味を持つのではないかとの認識が広まり、特に、最近注目されて来た.しかし、抗原吸入後、5から10時間後に起きる遅発型の実験喘息と大気汚染物質との関連については全くその報告が見られないのが現状である.そこで、これらの諸条件を考慮して、大気汚染物質(二酸化窒素)の曝露と喘息性変化との関連性について、呼吸曲線を客観的に評価するために、呼吸曲線をdigital化し数値解析が出来るようなパソコン用のプログラムを作製し、これらの汚染物質曝露が遅発型の呼吸困難の惹起に与える影響について検検討する。
本年度は、実験に必要な基礎的準備((1)動物の拘束的な負荷を少なくしながら呼吸曲線を採取するボデ-プレチスモグラフを作成する (2)呼吸運動によるプレチスモ内の容積の変動を検出し、呼吸曲線をdigital化して、実験喘息の確認及びその数値解析を可能にする (3)二酸化窒素の発生装置の作成及びチャンバー内でのガス暴露が一定濃度に安定して実施できるようにする)を実施して来た。これらは何れも良好な結果が得られ('98年2月末)、平成10年度は本実験を実施する予定である。

研究成果

• [文献書誌] Maruyama K.et al.: "Continuous low-dose NO inhalation does not prevent monocrotaline-induced pulmonary hypertension in rats." American Journal of Physiology. 272・1. 517-524 (1997)
• [文献書誌] Xie X.et al.: "Electromyographic and Delayed Neuropathic Changes Following the administration of Organophoshates to Hens" Environmental Sciences. 5・4. 239-248 (1997)
• [文献書誌] 武本行正, 北畠正義: "四日市地域における過去の汚染物質の排出と着地濃度の拡散シミュレーション分析" 四日市地域経済研究所・自主調査. 56. 1-50 (1997)
• [文献書誌] Piao F.Y.et al.: "Transfer of leptophos in hen eggs and tissues of embryonic rats" The Journal of Toxicological Sciences. 22・2. 99-110 (1997)
• [文献書誌] Piao F.Y.et al.: "Effects of Phenylmethylsulfonyl Fluoride Administration Prior to or Following Triphenyl Phosphite Administration on delayed Neurotoxicity and Serum Enzyme Activity Levels in Hens" Environmental Sciences. 5・2. 109-120 (1997)
• [文献書誌] 北畠正義,他: "四日市地域における大気汚染の推移と慢性閉塞性呼吸器系疾患による死亡の推移について" 四日市大学環境情報論集. 1・1(投稿中). (1998)
• [文献書誌] 北畠正義,他: "四日市地域における大気汚染の推移と肺癌の死亡状況について(投稿中)" 四日市大学環境情報論集. 1巻1号. (1998)
• [文献書誌] 北畠正義,他: "四日市地域における大気汚染と慢性気管支炎の受診率、新規発生率及び死亡率の推移(投稿中)" 四日市大学環境情報論集. 1巻1号. (1998)