研究概要 |
1,環境エストロジェン様作用のある化学物質のスクリーニングを行うために、人エストロジェン・レセプター遺伝子およびluciferaseレポーター遺伝子を組み込んだプラスミッドを、酵母の中に組み込む基礎実験を行った。しかし、コントロールとして用いるエストラジオールに対する反応に安定性がなかったため、まだ化学物質の影響評価系として用いる段階には至っていない。現在、さらに安定性のある株の選択を行っている。 2,平行して、米国Duke大学のMcDowell教授から譲り受けた人エストロジェン・レセプター遺伝子導入酵母の株を用いて、基礎研究を行っている。さらにエスロジョン作用により増殖する人乳癌細胞株MCF-7細胞を用いたバイオアッセイ系のシステムも比較検討するために作製している。in vivoアッセイ系として、化学物質投与後のマウス子宮重量の増加をエストロジェン作用の評価として用いられているが、化学物質のエストロジェン様作用が弱ければ、内因性エストロジェンの方が強いため、あのアッセイ系では検出することが出来ない。そこで内因性エストロジェンを無くした卵巣摘出マウスを用いた評価系も必要であると考えられ、現在、基礎実験を行っている。国際的なスクリーニング検査法としては、これらのアッセイ系の結果を総合評価することとなると考えられる。 3,免疫系へのエストロジェンの影響は、卵巣摘出動物で行っており、エストロジェン欠乏は肝臓や腎臓の炎症性サイトカインの産生を増大させることが明らかとなった。その結果はToxicological Sciencesに報告した。
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