環境ホルモン様物質すなわち内分泌かく乱化学物質のスクリーニング方法の確立するために、in vitro試験法で簡便で、安定性のある研究方法を見つけるために以下の研究を行った。エストロジェン・レセプターおよびレポーター遺伝子を組み込んだプラスミッドを、酵母の中に組み込みを行った。しかし、17beta-エストラジオールに対する反応性が低いため、米国Duke大学のMcDowell教授から譲り受けた人エストロジェン・レセプター遺伝子導入酵母の株を用いて研究を行った、また、人乳癌細胞株MCE-7細胞を用いたバイオアッセイ系との比較検討を行った。その結果では、MCF-7細胞の反応性が反応性が物質によっては約10倍から100倍程度高いことが明らかとなった。そのため、現状では、MCF-7細胞の検査法がより感度がよいと考えられる。さらに、メトキシクロール、DDT、PCBなどのエストロジェン作用およびゲネスチンなどの植物エストロジェン作用を両方の検査法で比較検討すると、植物エストロジェンの作用がよく知られている内分泌かく乱物質より強いことが明らかとなった。また、内分泌かく乱化学物質および植物エストロジェンをヒト正常ケラチノサイト培養系に添加するとSS-A/Ro自己抗体の増加が見られることを見いだした。このことから内分泌かく乱化学物質の曝露によりアレルギー疾患や自己免疫疾患の罹患率上昇との関連性に対して示唆を与えていると考えられる。
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