本年度は骨量測定の継続として、女子大学生約600名について行った。なお懸案事項である地域での中高齢女性の骨量測定と骨代謝マーカーの測定については、血液・尿サンプルの採取について実施主体の理解が得られず行うことができなかった。今年度は研究の最終年度にあたるため、主に以下の三点について解析を行った。 1) 発育期から成人初期にいたるまでの骨量変動曲線の作成:三年間の研究により、小学生から大学生までの幅広い年齢層の骨量を測定することができた。したがって小児から思春期までの骨量増加とその変動の実態についての骨量曲線を作成することができた。現在までのところ乾式の超音波による若年者骨量についての大規模検討例が少なく、本研究はこの年齢層における基準値作成に大きく寄与できるものと考える。 2) 骨量の変動における遺伝要因の検討:小中学生の兄弟姉妹間における骨量の相関関係より、骨量における遺伝と環境要因のパスモデルを構築し、共分散分析により骨量の遺伝率(全分散に占める遺伝分散の割合)を推定した。現在考え得るさまざまなモデルを比較・検討し、骨量の遺伝率の推定精度を上げているところである。 3) 女子大学生における食生活と骨量:青少年期においてPeak Bone Massを高めておく必要性が指摘されている。1997年に女子大学生を対象とした骨量データと三日間の食事記録のデータがあるため、このなかで約50名について骨量と栄養素の関連について予備的な検討を行った。
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