研究概要 |
平成9年度に得られた成果は下記の如くである。 1.珪肺症患者および健常人ボランテイアの末梢血液を本人の同意を得て採血し、血清中の可溶性Fas(sFas)の濃度を測定したところ、珪肺症患者群でsFasの有意な上昇がみられた。この結果は、末梢リンパ球の刺戟に続くリンパ球のactlvation-induced cell deathを起こさせる上で、健常人に比して珪肺症患者では抑制を受けており、活性化されたクローンが元の静止状態に戻るのが妨げられていると推察され、珪肺症患者に臨床症状を伴わない免疫異常が多いことと合致する。(CLin.Exp.Immunol.,1997発表済み) 珪肺症患者および健常人ボランテイアより得た1.の末梢血液の1mlからDNAを分離し、組織適合性抗原であるHLAのうち,HLAclassIIに属するHLADRB1,DQB1,DPB1について解析を行った。この結果、健常人に比して珪肺症患者群に有意に高く認められるalleleや、抗核抗体の出現率が有意に高いalleleおよび低いalleleがみられ、抗原提示細胞から珪酸化合物の提示に際して、alleleによる差があることが示唆された。この結果は、最近自己免疫疾患でHLAalleleとの相関が広く観察されていることと一致した。
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