老人保健施設に入所する痴呆高齢者の66.2%に生活行動量リズムの異常が認められ、生活行動量リズム異常は5型に分類できた。また、また、在宅要介護高齢者を対象に生活行動リズム異常を調べたところ、26.9%に行動量リズム異常が認められた。明らかな昼夜逆転を伴う昼夜境界消失型は30.5%に認められ、介護職員の観察では昼夜逆転が認められないケースがあることから、要介護認定にあたっては客観的根拠に基づく科学的判定の必要性が認められた。自由継続型リズム異常を示す痴呆高齢者では入浴サービスがリズム異常を是正するのに有効であった。昼夜境界消失型および自由継続型の生活行動リズム異常では外部からの働きかけによる生活リズム同調強化か必要であり、介護サービス提供の頻度の増加、同調強化に有用なサービスの効率的提供が必要であると考えられた。 秋田県における医療保健福祉基盤整備状況とその関連要因を解析したところ、医療の人的資源については都市化と密接に関連し、福祉関連指標であるホームヘルパー数は市町村の負債状態と関連していた。高齢者介護サービスの継続性確保の基礎的要件について、福祉先進自治体である秋田県A町のホームヘルパーを対象にフォーカスグループインタビュー法で調べたところ、住民のニーズを的確に吸い上げる行政の指導性と財政的裏付け、住民参加型の支援体制づくり、介護の現場の柔軟な管理体制、などの要因が重要であることが明らかになった。また、高齢者介護サービスの継続性確保は基礎的要件が整えば、多くの市町村で実現できるという意見が多かった。以上の結果より、高齢者介護サービスの継続性確保のためには、要介護高齢者の生活行動パターンの客観的把握とこれに基づく適切なサービス提供が必要であること、高齢者介護サービスの24時間化を推進するためには、行政の指導性と住民参加型の支援体制づくりが必要であることが明らになった。
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