研究概要 |
1.生体情報の在宅収集装置の試作:既に開発済みの心拍出量と血圧の無拘束同時計測システムに被測定者の姿勢状態を記録する簡易行動シナリオ計測を組み合わせたシステム(生体情報の在宅収集装置)を試作した。姿勢計測の角度分解能は約3°、測定間隔は0.1,0.2,0.5秒に設定可能で、得られた姿勢データに対して制止画表示・アニメーション表示・ヒストグラム解析などの解析が可能である。純な生理情報に関しては測定間隔は3分または5分で、得られたデータから最高・平均・最低血圧及び心拍出量と共に末梢循環抵抗、心拍数、一回拍出量が演算処理され、24時間分の全データがコンピュータ画面上にトレンド表示される。 2.健常成人を対象とした試作装置の性能評価:試作装置を用いて健常成人を対象とした姿勢及び循環生理情報の長時間無拘束計測を行った。その結果、無拘束下で得られた循環動態の24時間計測値と被検者の各種行動・姿勢変換との詳細な対応付が可能であることが確認された。従来の無拘束下血圧計測ではこれらの対応付は被験者の報告(イベント記録)をもとに成されており、被験者の負担に加え行動の記録漏れは避けされなかったが、本装置によりこれらの問題が解決可能と考えられた。 3.スペクトル分析による循環生理機能の日内変動解析:本システムを用いて健常成人を対象に1日目は通常の日常生活、2日目は終日ベット安静という条件下で連続48時間の無拘束循環生理機能計測実験を行い、循環機能パラメータの日内変動を平成9年度購入の備品(A/D変換・データ収集・解析システム)を用いてスペクトル解析し、日常生活における行動様式が各パラメータに及ぼす影響を検討した。その結果、各パラメータともに概ね12時間及び24時間を主な周期とする日内変動が存在し、行動様式の違いは12時間周期に対してはあまり影響を及ぼさないものの概日周期に対しては大きく影響することが確認された。またベット安静下での血圧の周期値が日常生活下に比べ大きく変化する場合、ほとんど変わらない場合の両者が見られ、終日ベット安静下という鵜同一城家下においても自律神経系に介した血圧調節機構に個人差があることが示唆された。
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