研究概要 |
本研究の目的は,思春期・青年期の日本人の抑欝と自殺念慮について疫学的に把握することである.具体的には,一般思春期生徒と臨床患者の双方に米国精神医学協会の診断基準に基づく自記式質問票DSD(Robertsら,1993)調査を行い、構造的な面接調査や臨床医の診断との結果と組み合わせて,そのクリーニングの有効性とリスク要因との関連性とを調べ、国際比較を行うことである.初年度は,すでに行われた予備調査結果を踏まえ、本調査用の質問票を作成し,一般思春期集団における質問紙(DSD)+面接(SCID)の2段階調査を実施した.全国的に頻発している中学生の殺傷事件などの影響で学校現場からさまざまな制限を受け,最終的に群馬県北部の公立中学校2校より協力が得られたが,調査対象者の人数および調査項目の内容について,削減と変更を余儀なくされ,実施時期も平成10年1月から2月にかけてとずれ込む事になった.調査対象者は中学2年生のみ総計約260名であり,その代わり,質問紙による事前スクリーニングは行わず,質問紙調査を受け左すぺての対象者に面接調査を行った.面接者9名(精神科医3名,小児科医2名,そのほかの医師・心理カウンセラ-4名)により集中的に行われた.現在,収集された質問紙調査と面接調査の結果のコンピュータ入力が終わった段階であり,データ・クリ~ニングが始められているところである.次年度は,この解析を進める一方で,当初の予定通り臨床患者群のデータを採取し,又根可能であればもう少し一般中学生のデータを追加して、国際比較に向けた包括的な分析を行う予定である.
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