主体的な健康管理能力形成への援助を目的とする健康学習の結果評価の指標を尺度として開発するため、糖尿病患者を念頭に、(1)構成概念の明確化、(2)development sampleでの調査を実施した。結果は以下のとおり。 1.糖尿病患者における主体的な健康管理能力の形成には、情緒的適応、自己効力感、社会的支援が重要な役割を果たしている可能性が、文献的検討より明らかになった。これらの構成概念は既に幅広く用いられているので、既存文献よりそれぞれを潜在変数とする尺度を選び出した。また、主体的な健康管理能力は、食事療法や運動療法の実施状況から把握できないかと考え、これらの構成概念を測定する複数の尺度より、本研究のためのitem-poolを作成した。 2.本研究では、某大学医学部附属病院の糖尿病外来受診患者をdevelopment sampleと考え、外来受診時の待ち時間を利用し、自己記入式の調査票による尺度の検討を行った。その結果、178名から有効回答を得て、食事の実施状況については、8itemsで信頼性係数α=0.84、運動療法については、4itemsで信頼性係数α=0.87の尺度を得ることができた。同時に調査した、情緒的適応、自己効力感、社会的支援などとの関係は、現在解析中である。 一方、東京都文京区民を対象に実施した予備調査の結果の解析も引き続き進めており、平成10年度には、その結果もあわせてまとめる予定である。
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