研究課題/領域番号 |
09670381
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
そうけ島 茂 富山医科薬科大学, 医学部, 講師 (40262513)
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研究分担者 |
村井 嘉寛 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (60115194)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 助教授 (30134993)
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キーワード | 肺ガン / 生体組織標本 / 残留磁化強度 / 超伝導残留磁気測定装置(SQUID) |
研究概要 |
超伝導残留磁気測定装置(SQUID)を用いて、昨年度に測定した肺組織の残留磁化が強かった2症例の肺組織各部位、他の器官組織(心、肺、脾、腎及び膵)、及び組織保存液の磁化強度を調べた。肺組織以外の他の器官標本とホルマリン保存液の自然残留磁化(NRM)は10^<-8>emu(10^<-11>Am^2)のオーダー値を示した。一方、肺組織について、症例Aは、右肺S2(1.46×10^<-6>emu)とS3(2.07×10^<-6>emu)の末梢部と右肺下葉中心部(1.10×10^<-6>emu)の強度が右肺S8と右肺S10より高かった。肺腫瘍部では10^<-5>emuのオーダーに達した。肺中の磁化物質の分布は上部のS2とS3の末梢部と下葉中心部で強く、下部のS8とS10の末梢部で弱い傾向が認められた。症例Bの各部位標本の磁化強度は症例Aより1桁高い値を示した。各症例組織のホルマリン保存液の磁化強度は空カプセルより少し高かったが、有意差はなく、肺組織より有意に小さかった。標本に含まれる磁性物質の特性について、等温残留磁化(IRM)の獲得と消磁曲線から得られるWohlfarth ratioでは、調査した試料の値は全て0.5以下となった。これは、磁性物質が組織内でクラスターとして、かなり局在していることを示唆している。更に、試料のS-ratioは全て0.96以上で、組織の中にマグネタイトのような低保磁力の磁性物質が存在することが示唆された。上記の2症例について、患者の生活環境を調べたところ、いずれも磁性物質を吸入しやすい環境(熔鉱炉勤務と鉄工所勤務)であったため、生活環境による個体、組織の磁化強度の違いも、今後、検討する必要がある。
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