研究課題/領域番号 |
09670382
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 裕之 金沢大学, 医学部, 助教授 (30231476)
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研究分担者 |
荻野 景規 金沢大学, 医学部, 教授 (70204104)
吉田 雅美 金沢大学, 医学部, 助手 (90251925)
長瀬 博文 金沢大学, 医学部, 講師 (00251918)
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キーワード | 物理的環境刺激 / 神経免疫系 / natural killer cell / ストレス / CRH / マイクロ波 / β-エンドルフィン / 妊娠 |
研究概要 |
妊娠母胎では、様々な内分泌的変化だけではなく、免疫的変化をも伴い、また一方ではストレスなどの外刺激に対する緩衝作用がある。マイクロ波はその温熱作用による様々な影響をもたらすが、妊娠母胎におけるその熱作用に対する神経内分泌免疫系の反応機序の詳細はよく知られていない。また、同時にその低レベル暴露による妊娠母胎の神経内分泌免疫系への影響も不明である。本研究では、低レベルマイクロ波の全身暴露によってもたらされる内分泌免疫系への影響を脳内神経伝達物質との関連において解明することを目的に、マイクロ波(周波数2,450MHz、強度2mW/cm^2、90分間)暴露による脾臓細胞中ナチュラルキラー細胞活性(NKCA)、血中および下垂体と胎盤のβ-エンドルフィン(βEP)の変化を妊娠ラットあるいは処女ラットにおいて検討した。このレベルのマイクロ波は、0.9℃の温度上昇をもたらしたが、血中コルチコステロンへの有意な変化は引き起こさなかった。処女ラットでは認められなかったが、妊娠ラットのマイクロ波暴露群のNKCAは非暴露群に比べ有意に減少した。下垂体前葉のβEPも妊娠ラットにおいてのみ、増加が認められた。オピオイド受容体拮抗剤であるnaloxoneの前処置では、妊娠期におけるこれらの変化を元に戻し、さらに胎盤のβEPを増加させた。以上より、マイクロ波に際して、妊娠母胎では、下垂体βEPを上昇させる脳内神経伝達系が、オピオイド系の活性化をもたらし、その結果、細胞性免疫を低下させるという神経免疫系の機序が存在することが推定された。この系の存在により、妊娠期には恒温性が向上すると考えられた。その際のマイクロ波による生体影響は、マイクロ波の温熱作用と非温熱作用の両作用によると考えられた。
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