研究概要 |
I. 対象:関東在住の56組の双生児(一卵性、二卵性)および一般健康女性118名。姉妹16組。 II. 方法:生活習慣を調査票により収集し、遺伝子マーカーとしてビタミンD受容体(VDR)遺伝子多型(BsmI.ApaIおよびTaqI)、エストロゲン受容体遺伝子多型(PvuII、XbaI、繰り返し配列)およびオステオカルシン(OC)遺伝子多型を観察した。 III. 結果:一卵性双生児間の骨密度の一致率は二卵性双生児間の一致率に比べて有意に高かく、骨密度に対する遺伝要因の関与を支持した。遺伝子マーカーに関しては,ANOVA分析により骨密度はVDR遺伝子多型と有意な関係を示した。BBの骨密度がbbの骨密度より低く、Bbはその中間の値であった。骨密度変化率はBB、Bb、bbの順に減少率が大きく、有意差を認めた。PvuII遺伝子多型は有意差はないもののPPの骨密度が高値で、Pp、ppの順に骨密度が低くなっていた。また、VDR遺伝子多型や体重、年齢などで調整した骨密度では有意にその関連を認めた。XbaIではXXが他の遺伝子型に比べて骨密度が高く、ANOVAで有意差を示した。さらに、ハプロタイプではPPXX型が他の遺伝子型に比べて有為に骨密度が高くなっていた。OC遺伝子はHindIIIによる制限酵素断片長多型を観察し、骨密度との関連を検討した結果、allele Hをもつ群ともたない群で骨密度のZ scoreを比較するとHをもつ群が有意に骨密度が低くなっており、OC遺伝子も骨密度に関連していることが示唆された。また、罹患同胞対法による分析は症例数が足らず意味のある結果を見出せなかった。 IV. 結論:遺伝子マーカーは骨粗鬆症のリスクを評価する上で重要であるが、その寄与は数%である。しかし、遺伝子の組み合わせで、骨粗鬆症予知のマーカーになる可能性がある。
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