本年度の研究では、小学生を対象とした歯・口の健康教育プログラムを開発するための基礎的調査を実施した。この調査は、小学校1年生から6年生までのそれぞれの発達段階において、どのような口腔保健行動をとっているか、そしてどのような要因が口腔保健行動に関係しているかを明らかにすることを目的とした。調査項目は、口腔保健行動(歯磨きなどのプラークコントロールに関わる行動、受療行動および食行動)の実態、歯・口の健康に関わる意欲、口腔保健行動に関する自己効力、健康の価値などの態度、は齲蝕や歯周病に関する知識である。なおこの調査を挟んで、平成9年度と10年度の定期歯科検診の結果を照合することで、齲蝕発生に関わる行動、知識、態度を明らかにすることも同時に目指す。対象者は千葉市内の2小学校に在籍する1年生〜6年生までの計約600人である。調査は質問紙を直接児童に配布し、記入する方式をとった。ただし1、2年生に関しては自宅で保護者が記入した。調査は平成9年2月に実施した。現在結果を解析中であるが、次のような成果が期待される。すなわちそれぞれの発達段階における歯・口に関する健康教育課題を口腔保健行動面から明確にし、どのような教育内容を構築していけばよいかを具体化することが可能になる。これまでは一般的に歯の萌出段階から発達課題が示されてきたが、今回行動はもちろん態度や知識面から検討を加えることで、実態に即した発達課題を示すことができるであろう。さらにそこから適切な口腔保健行動を支えるための家庭や地域の役割も決定されることが期待される。
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