研究課題/領域番号 |
09670391
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 純子 広島大学, 医学部, 講師 (70155266)
|
研究分担者 |
守屋 尚 広島大学, 医学部, 講師 (40243563)
吉澤 浩司 広島大学, 医学部, 教授 (30109954)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | GBV-C / HGV / 血清疫学 / High risk group / 輸血後肝炎 / 非A非B非C型肝炎 |
研究概要 |
非A非B非C型肝炎の原因ウイルスの候補の一つとして注目されているGBV-C/HGVの感染の実態を解明することを目的とした血清疫学的調査研究を行い以下の知見を得た。 1. 輸血との関連:輸血後のS-ALT値の変動をもとに診断した輸血後肝炎(非A非B非C型)23例、全例にGBV-C/HGVの感染は認められなかった。受血後の追跡症例のうちS-ALT値が正常範囲内の値を持続した症例217例では6例(2.8%)にGBV-C/HGV RNAの感染が確認された。 2. 血液を介する感染症のhigh risk groupにおける感染状況:静注用薬物濫用者38例、血友病患者41例、血液透析患者365例ではそれぞれ13.2%、14.6%、5.2%にGBV-C/HGV RNAが検出された。 3. 非A非B非C型肝疾患におけるGBV-C/HGV RNAの検出率:非A非B非C型の肝疾患83例中4例にGBV-C/HGV RNAが検出された。なお、陽性例はいずれも過去に輸血の既往を有していた。 4. 一般健常者集団におけるGBV-C/HGVの感染:一般妊婦集団1766例のうちGBV-C/HGV RNAが検出されたのは11例(0.6%)であり、このうち3例がHCVとの重複感染であった。 5. GBV-C/HGV感染と肝病態:献血で発見されたHCVキャリア916例のうち58例(6.3%)にGBV-C/HGVの重複感染が認められた。しかし重複感染の有無と肝炎の活動度、病期の進展度との関連は認められなかった。また、GBV-C/HGVとの重複感染を認めたC型慢性肝炎症例のインターフェロン治療効果については治療前後におけるHCVの消長とS-ALT値の変動とが関連し、GBV-C/HGVの消長とは無関係であった。 以上の成績から、我が国においてGBV-C/HGVの持続感染者は低率ではあるが存在し、現時点においても水平、垂直感染により新たな感染が、低率ながらおこっていることが明らかとなった。しかし、このウイルスの感染が肝病態を修飾する因子となるか否かについては否定的であることが明らかとなった。
|