1)小集団での寿命延長を算出する計算ソフトをビジュアルベーシックで作成した。これは1990年長崎県生命表をベースとし、そこから、その市町村での特定死因を除去した場合の寿命延長を算出するプログラムである。特定死因を除去した場合、他の死因で死亡する確立が増加するがこの簡易プログラムではそれを考慮していない。従って人口学的には問題もあるが、厳密に計算すると人口規模が小さいためにかえって非現実的な値となる場合があるため、保健学的・公衆衛生学的にはこの方法が実践的であると考えられる。これを特定死因が増加した場合の寿命短縮も算出できるようにし、「障害のない寿命(健康寿命)」の算出に使用した。 2)調査対象地域である長崎県の大島町、大島村、伊王島町の2町1村の保健婦の協力を得て、40歳以上の全住民、約5000名の日常生活活動動作(ADL)レベルを評価し、全員のデータをコンピューターにいれてデータベース化した。 3)計算はまだ継続中であるが、伊王島町の結果からは、医療機関に受診している住民の割合は多く、軽い障害をもって生活している高齢者は多いが、反面、寝たきり度の高い高齢者は少ないことが数量化できた。その結果、健康寿命は定義によって結果が大きく左右されることが判明した。女性では、生前約6年間の有障害期間が存在するが、要介護状態となるのは2年弱であることが判明した。 4)今後、分析を進め、地域差を明確にし、その地域差の要因を検討する予定である。
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