研究課題/領域番号 |
09670399
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
稲岡 司 熊本大学, 医学部公衆衛生, 講師 (60176386)
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研究分担者 |
永野 恵 熊本大学, 医学部公衆衛生, 助手 (10136723)
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キーワード | スチレン / FRP / 尿中マンデル酸 / 色覚異状 / 皮膚障害 / 個人暴露濃度 / 作業環境濃度 / 自覚症状 |
研究概要 |
スチレンの量・影響関係を確立し、スチレン個人暴露量と色覚異常や末梢神経および皮膚障害との疫学的な関連性を検討することを目的として、昨年度に引き続き調査研究を行った。 昨年度は、熊本県下でスチレンを使用する9つのFRP事業所の従業員を対象として、11月から1月の冬期に調査を行ったが、本年度は特に季節による差も検討するために、上記に2つの事業所を加え、7月から9月の夏期に同様の内容の調査を実施した。すなわち、1)作業条件・作業内容に関するタイムスタディー、2)作業前の自覚症状、3)1日の作業環境中のスチレン濃度の測定、4)パッシブサンプラーを用いたスチレン個人暴露濃度の測定、5)作業終了時の尿中マンデル酸排泄量の測定、6)皮膚障害の臨床的観察、を行った。 その結果、 1) 夏期のスチレン作業環境濃度は冬期と同様に環境基準濃度より低く、また作業者の個人暴露濃度の平均値の半分以下であった。 2) スチレンの個人暴露濃度が許容濃度50ppmを越えた作業者はほとんどおらず、これには中小企業であるが故の自然換気と景気の悪さが影響していると考えられた。 3) マスク未使用者におけるスチレン個人暴露濃度と尿中マンデル酸排泄量の相関係数は、夏期も冬期も0.9前後と高かった。これらの回帰直線から、FRP作業者のスチレン個人暴露濃度に相当する尿中マンデル酸排泄量は0.60g/g・Crと、これまでの報告より若干低値を示した。 4) スチレンに暴露された者は性・年齢をマッチさせた対照者に比較して、冬期も夏期も色覚テスト(ランソニーパネルD-15)の得点が悪かったが、現在のスチレン個人暴露濃度との間には関連性は見られなかった。 5) 皮膚検診により40%弱の対象者に何らかの皮膚障害が観察された。 現在、これらのデータに自覚症状の結果を加えて相互関連性を検討する一方、皮膚障害の原因を追求するため、パッチテストを希望者に順次行っているところである。また、逐次これらの調査結果を各事業所に還元し、作業者ぐるみの健康教育に役立てている。
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