学童の喘息の有症率は大気汚染濃度の高い地域ほど高率であり、 この差は非特異的IgEに代表される個体の分布によるものでなく、アレルギー素因を有しない正常児の有症率の差によることは既に明らかにした。 本年度は大気汚染濃度の異なる4地区の学童を対象に、血清免疫グロブリンIgG、IgA、IgM及びIgGサブクラスを測定し、喘息・喘鳴症状の有無及び大気汚染との関係を検討し次の結果を得た。 1)喘息・喘鳴症状を有するものでは、IgG、IgG_4値が高値であった。 2) アレルギーの素因の指標とされているIgE値とIgG、IgG_4との間には関連がみられなかった。 このことはアレルギー素因以外の喘息の発症の可能性を示すものである。 3)地域間の差をみるとIgA値は汚染度の低い地域で高く、IgM、IgG_1汚染濃度の高い地域で高値であった。 以上の結果は大気汚染による喘息の発症は、感染抵抗性の減弱によることを示すものである。
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